結跏趺坐や正坐に慣れてくると、
「背骨をまっすぐにしなければ」と
意識する必要そのものがなくなってきます。
まっすぐに伸ばす意識がなかったとしても、
背骨の方からムクムクと起き上ってくるからです。
実は背骨は骨格としての役割だけでなく、
「気」の通り道という役割も持ち合わせています。
このエネルギーの通り道は
スシュムナと呼ばれています。
内部のエネルギーが整ってくるとともに、
気の通り道である背骨が
勝手に起き上ってくるようになります。
また坐ることに慣れてくると、
姿勢を支える抗重力筋や姿勢筋などの
インナーマッスルも自然と強化されます。
そうなると、坐っていても、歩いていても、
走っていても骨盤の上に真っ直ぐな背骨が
のっかている感覚になります。
ちなみに、この感覚で走ると
骨盤で走ることができ走法も安定します。
この安定感はいわゆる体幹と呼ばれるものです。
弓道や剣道などの武術においては、
精神面だけでなく体幹のしっかりとした身体を
作るためにも坐禅が取り入れられていたそうです。
そもそも「道」の名の付く武術は、
禅と深いかかわりがあります。
かつてはどこの道場でも
坐禅に取組んでいたそうです。
坐る習慣によって身体が整い、
身体能力に至るまで向上してくるのです。
茶道や書道なども「道」がついた名称で、
禅と深いかかわりがありますので、
芸事にも坐ることが影響しているのだと思います。